裁判員裁判12年 守秘義務緩和の提言も 参加促進なお課題 - 産経ニュース

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裁判員裁判12年 守秘義務緩和の提言も 参加促進なお課題

裁判員裁判が開かれる法廷では、廷内の左右に傍聴人が見られる大型モニターが設置されている =昨年12月、東京地裁立川支部
裁判員裁判が開かれる法廷では、廷内の左右に傍聴人が見られる大型モニターが設置されている =昨年12月、東京地裁立川支部

刑事裁判に市民が参加する裁判員制度の開始から21日で12年を迎えた。これまでに裁判員を経験した人は約10万人。経験者への調査では、制度を肯定的に捉える意見が多かったが、参加に対する未経験者の心理的なハードルをいかに下げるかが今後の課題だ。市民グループからは経験者や候補者に課される守秘義務を緩和したり、提出された証拠を傍聴人にもより見える形で法廷で開示したりすることで、「開かれた司法」を目指すべきだとの声が上がる。

最高裁の統計によると、平成21年の制度開始から今年2月末までに延べ約336万人が裁判員候補として名簿に記載され、10万人余りが実際に裁判員や補充裁判員を務めた。裁判員を経験した人を対象にした昨年度のアンケート結果によると、9割以上が「非常によい経験」「よい経験」と肯定的な回答を寄せているが、未経験者の心理的なハードルは依然高い。

昨年度に市民約2千人に行われた別の調査では、約35%が「義務であっても参加したくない」などと回答し、積極的に参加を希望した人は全体の2割以下にとどまる。

また昨年、裁判員候補となったものの、理由を告げず裁判所での選任手続きに欠席した人は候補者全体の3割超。全体の辞退率は7割近くに上り、こうした傾向は、制度開始当初から大きく変化していない。

有識者でつくる「裁判員制度の施行状況等に関する検討会」は昨年の報告書で、辞退の背景には「関心の低下や、(参加への)不安がある」と指摘する。

こうした社会の事情を踏まえ、市民グループの「裁判員経験者ネットワーク」(東京)などは、制度の改善を求めて声を上げる。

同ネットワークなど4団体は今月15日にオンラインで公開シンポジウムを開き、「裁判員経験の共有のために守秘義務の緩和を求める」共同提言を公表した。

現状の制度では、刑事裁判の審理の後に裁判官と裁判員が、被告の有罪無罪や量刑などを話し合う「評議」の中身だけでなく、そもそも裁判員候補者に選ばれたことすらも公表が禁止されている。

同ネットワーク共同代表世話人の大城聡弁護士は「過度な守秘義務を課すことは裁判員について知りたい、話したいという市民の思いを萎縮させる」と指摘。守秘義務を課すべき範囲を再度検討した上で、裁判員経験を共有できる環境づくりが必要だと主張する。

また、裁判への市民の参加を促す「裁判員ACT」(大阪市)は今月19日、法廷内の大型モニターの積極的な活用を求める提言を大阪地裁に提出した。

裁判員裁判では分かりやすい審理のため、スライドショーなどモニターを活用した説明や防犯カメラ映像の再生といった証拠調べが行われることが多い。ただ、裁判官や裁判員の手元のモニターだけが使われ、傍聴人が見ることができないケースもあるという。

同会メンバーの芝崎美世子さんは「裁判によっては大型モニターがまったく活用されず、傍聴席が置き去りにされていると感じる」と残念そうに話し、同会の明賀(みょうが)英樹弁護士は「裁判員制度の浸透には、将来裁判員となるかもしれない傍聴人にも目を向けた丁寧な対応が必要だ」と指摘している。