話の肖像画

演出家・宮本亞門(63)(6)他人が怖い 「ひきこもり」に

《最初は何となく、「学校へ行きたくない」…。そんな軽い気持ちだったが、気付いたときには、もう行けなくなっていた。最初のうちは同級生が誘いに来てくれたが、頑としてドアを開けなかった》

1、2カ月もすると、同級生は誘いに来なくなり、担任の先生も、サジを投げてしまったようでした。

今から思えば僕は、とても心の折れやすい若者だったと思う。「学校へ行ってほしい」という両親の思いはもちろん理解できるんだけれど、どうしても周りの視線や他人と会うのが怖い。「ふつう」の人たちとは感性や価値観が違う。話せない、暗い、つらい。自分を偽って〝演じる〟、自分がイヤになって疲れ果てる…。堂々巡りです。その悪循環から抜け出すことができなかった。

当時のことを振り返ると、ホントにつらい毎日でしたね。「学校だけが人生じゃない」とも思いましたが、さりとて違う道も見つからないわけです。

《そのうちに自室にこもってカギをかけ、一日中、出てこなくなった》

トイレ以外は部屋から出てこなくなりました。食事は(喫茶店経営の)両親が出かけたすきにこそこそと食べる。またカギをかけて自室にこもる…の繰り返し。当時、風呂にはほとんど入らなかったですね。自室にこもって、10枚くらいしかないレコードを何度も聴いたり、趣味の仏像の写真を眺めたり。

両親とは、ほとんど会話をすることがなくなった。つまり「ひきこもり」です。(聞き手 喜多由浩)

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