【話の肖像画】演出家・宮本亞門(63)(5)「ふつう」と違う…つらい学校生活(1/2ページ) - 産経ニュース

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演出家・宮本亞門(63)(5)「ふつう」と違う…つらい学校生活

小学生。引っ込み思案だった
小学生。引っ込み思案だった

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《学校ではテレビやアイドルなど同級生が好んでする話題に興味が持てない。友達もできない。次第に他人が怖くなった》

僕は引っ込み思案の子供でしたね。顔ではいつもニコニコ。だけど、集団生活にはなじめない。他人が怖い。人とうまく話せない…。もう幼稚園のころからそうでした。

といっても別に、いじめられているわけじゃないのですよ。ただ、みんなが興味を持っていることに僕は関心が持てないのです。皆が面白がっているジョークにも笑えない。何がつらいって、皆の「ふつう」が僕には分からないのです。同じようにできなかった。

でも、仲間外れにはなりたくない。だから、無理にでも周りに合わせないといけないと思って、今度は〝演じる〟ようになる。「違う人格」をつくって分かっているフリをする。ニコニコする…。そうやって自分を守るしかなかったのでしょう。

でも、そんな自分がイヤで、家に帰ると、また落ち込んでしまうのです。次第に精神的にも疲れ果て、毎日、朝起きるのがつらい。学校へ行きたくない。対人恐怖症になる…。そんな悪循環の繰り返しでした。

正直言って、もしも来世があったとしても、小学校、中学校には、二度と行きたくない気持ちですね。

後から思ったのは「ふつう」なんてない、幻想にすぎないってこと。みんな、それぞれ考え方も容姿も違うでしょう。僕はそんな「ふつう」に苦しめられていたのです。

《小学生のころから熱中していた趣味が仏像鑑賞。中学生になると1人、休日に夜行列車に乗って京都・奈良まで出かけ、お寺で仏像を眺める日々。だけど周りに同好の士はいない。趣味までからかわれた》

中学の同級生に「実は僕、仏像鑑賞が趣味なんだよ」って打ち明けたら、「へえー、じゃあ盆栽もだろう」って、からかうように言われました。それ以来、ヘンなヤツだと思われるのが怖くて、仏像の話題を持ち出すことができなくなった。周りの友達との距離はますます遠のくばかりです。