コロナ直言(7)

ワクチンロードマップを作れ 順天堂大大学院・堀賢氏

《新型コロナウイルス特別措置法にもとづく緊急事態宣言の出口戦略をめぐり、菅義偉(すがよしひで)首相は7日、政府の対策分科会が示す4段階の基準のうちの「ステージ4」(爆発的感染拡大)からの脱却が、解除時期の目安と説明した。だが、最大の出口戦略はワクチン接種ではないだろうか。海外では接種の拡大に伴い、マスクなしでの外出も解禁されつつある》

ステージ3(感染急増)で宣言を解除すれば1カ月後に、ステージ2(感染漸増)であれば1カ月半から2カ月後に、それぞれ再び宣言を出す必要があるのではないかと予想する。宣言は医療崩壊を防ぐための一時避難的な対処にすぎない。政府がすべきなのは宣言を繰り返すことではなく、ワクチンを迅速に多くの国民に接種してもらうことだ。

ワクチンは感染状況を落ち着かせることはもちろん、流行を長引かせないという効果もある。変異株は人から人へ感染する中で一定の割合で現れるため、多くの人が感染すれば比例して変異株も増える。その結果、いずれワクチンが効かない株が出る可能性が高まる。早く、多くの人に接種すれば変異株が生まれる機会が減り、打ち直す必要もなくなるだろう。

『接種会場をいくつつくり、何月までに国民の半分に打つ』など明確なロードマップ(行程表)を示し、その上で、この間に感染が急拡大したら宣言を出し、短期間で強い制限をかける-。政府はこうした行動を取るべきだ。また、国債を発行してでも産業を守り、休業要請などに応じた施設に補償をしっかりするというやり方で、国民に協力を呼び掛けてはどうか。

ワクチンの国内への供給量は増えつつある。重要なのは「打ち手」の確保だ。資格を持ちながら離職中の潜在看護師の掘り起こしが重要になる。ただ、午前9時から午後5時まで週5日も拘束することになれば、人は集まりにくくなる。自治体には、柔軟なシフトを組むなど潜在看護師が現場に戻りやすい就労環境をつくることを求めたい。

国民の多くはこのパンデミック(世界的大流行)に飽き飽きしている。8割くらいの国民がワクチンを接種するのではないか。接種が半分程度まで進めば、感染状況はある程度落ち着いてくるとみられる。一方、時間をかけていると、「痛みもあるようだし、自分は打たなくてもいいか」と考える人も出てくる。一刻も早く多くの国民が接種できるような体制を整えることが重要だ。

《今夏に開催予定の東京五輪・パラリンピック。コロナ禍の影響もあり、各種世論調査では半数程度が中止を求めている》

五輪・パラリンピックの各会場には、医師や看護師がボランティアで配置される予定だが、コロナ対応で手いっぱいの病院もある。開催するというのであれば、大会期間中の医療提供体制をしっかりと整えることが不可欠だ。(聞き手 小川原咲)

順天堂大大学院の堀賢教授(本人提供)
順天堂大大学院の堀賢教授(本人提供)

ほり・さとし 順天堂大大学院教授(感染制御科学)、医師。同大大学院医学研究科を修了、アジア人として初めて英国感染制御専門医の資格を取得した。順天堂大医学部附属順天堂医院では感染対策室長を務める。