話の肖像画

演出家・宮本亞門(63)(4)母から教わった芝居の素晴らしさ

《小学校は港区の白金、中学校は大田区の田園調布…。「孟母三遷(もうぼさんせん)」ばりに両親がよい教育環境を求めて引っ越しを繰り返したためだ。そんなときに〝おしろい事件〟が起きる》

日舞の発表会の後に小学校へ行ったときでした。僕の顔に「おしろい」の跡が残っているのを見たクラスメートがはやし立てたのです。「こいつ、男のクセに化粧しているぜ」とね。

子供の正直さはときに残酷になってしまいます。僕はみんなから大笑いをされて、よほどショックを受けたらしい。

暗い表情で帰宅した僕の姿を心配した両親が担任の先生に電話をし、先生が翌日、わざわざ日舞のことを説明してくれましたが、僕の気持ちは晴れません。

「みんなと違うんだ」「日舞のことはもう、みんなには言わないようにしなければ」と妙に警戒するようになって、同級生ともうまくコミュニケーションが取れないようになってしまったのです。

僕は生まれたときからいつもニコニコ笑顔。でも、同級生からは逆にそのことで「宮本君は何を考えているのか分からない」って思われてしまったようです。学校生活には、どうにもなじめなかったですね。(聞き手 喜多由浩)

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