コロナ その時、

(29)2021年1月22日~ 罰則めぐり迷走 議員会食相次ぐ

変異株も広がる新型コロナウイルス感染の封じ込めにあたって、国内では法制度の限界が如実となっていた。政府は1月22日、罰則を伴う特別措置法と感染症法の改正案を閣議決定したが、反発を招き罰則を後に修正した。国民に協力を呼び掛けるべき国会議員の夜の会食が相次ぎ、永田町に厳しい視線が注がれた。

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22日、東京都内の10歳未満の女児が英国型変異株に感染していたことが判明した。海外渡航歴はなく、経路不明の市中感染だったとみられる。都内では自宅で療養中の30代女性が自殺していたことも明らかになった。同居の夫や娘にあてたとみられる「周囲に迷惑をかけた」との趣旨のメモが残され、「感染者の心のケア」という重要な課題を突き付けた。

東京や大阪など11都府県に緊急事態宣言が発令されていたが、感染拡大の封じ込めへ一層強い措置が求められていた。政府は22日、営業時間短縮や休業命令に応じない飲食店などへの50万円以下の行政罰を盛り込んだ特別措置法改正案を閣議決定。入院を拒否した感染者に1年以下の懲役か100万円以下の刑事罰を科す感染症法改正案も決定した。だが、罰則の導入は物議を醸し、野党は刑事罰は「重すぎる」と批判した。

そんなさなかに、夜の外出自粛要請にもかかわらず、自民党の松本純国対委員長代理が東京・銀座のクラブなど夜の店をはしごしていたことが26日に判明。公明党の遠山清彦幹事長代理も深夜の銀座でのクラブ訪問が同日に発覚した。最終的に松本氏は離党、遠山氏は衆院議員を辞職し、与党議員の軽率な行動の代償は大きかったといえる。

コロナ関連の法改正をめぐり、自民党と立憲民主党は28日、感染症法は刑事罰から行政罰(50万円以下の過料)に修正し、特措法も宣言下は30万円以下の過料とすることで合意したが、緊急時での私権制限の難しさを浮き彫りにした。

中露がワクチン外交

就任直後のバイデン米大統領を待っていたのは、新型コロナの死者数が40万人を超える惨状だった。第二次大戦の戦死者数に匹敵する規模。米社会が受けたショックは大きく、英国由来の変異株も拡大し、病床の逼迫(ひっぱく)が再び深刻化した。

米国ではこの頃、トランプ前大統領が新型コロナを「中国ウイルス」と呼んだこともあり、アジア系への人種差別や暴力行為が新たな社会問題になっていた。バイデン氏は26日、アジア系への差別や偏見解消を目指す大統領令に署名した。

中国やロシアは影響力を高めるための「ワクチン外交」に余念がなかった。プーチン露大統領は25日、メキシコとの電話首脳会談で、今後2カ月でロシア製ワクチン「スプートニクV」2400万回分を供給することで合意。29日には、ハンガリーが欧州連合(EU)加盟国で初めて、中国医薬集団(シノファーム)製ワクチンの緊急使用を承認した。その中国では23日、感染の「震源地」となった湖北省武漢市の都市封鎖から1年を迎えたが、流行初期に何が起きたかの情報開示を国際社会から求められていた。武漢入りした世界保健機関(WHO)の国際調査団は28日、調査を本格始動した。

外食の落ち込み最大

コロナで明け暮れた昨年を象徴する統計が相次いだ。日本フードサービス協会が25日発表した2020(令和2)年の外食売上高は前年比15.1%減で、比較可能な1994年以降で過去最大の落ち込みとなった。成田国際空港会社は29日、成田を昨年利用した国際線旅客数が前年比80%減の約726万人だったと発表した。

コロナ対策を盛り込んだ20年度第3次補正予算案は28日に成立。予算総額は175兆6878億円に膨らみ、当初予算(102兆6580億円)の1.7倍と単年度予算額では過去最大規模となった。

こうした中、菅義偉(すが・よしひで)首相が「切り札」と位置付ける新型コロナワクチン接種の準備が進められた。厚生労働省と川崎市は27日、集団接種を想定した初の訓練を実施。市の担当者は「問診の場面で高齢者から質問が相次いだ。その対応で(接種の)流れが止まらないようにしていくことが課題」と振り返った。

一方、河野太郎ワクチン担当相は同日、65歳以上の高齢者への接種は早くても4月1日以降との認識を示した。当初は3月下旬を想定していたが、この後も接種スケジュールは迷走を重ねる。

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