1型糖尿病 1人勝訴も弁護団「極めて不当」

血糖値を下げるインスリンが、生活習慣の乱れとは無関係に分泌されなくなる「1型糖尿病」の患者9人が、病状が改善していないのに障害基礎年金の支給を停止したのは不当として、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が17日、大阪地裁であり、森鍵(もりかぎ)一裁判長は、9人のうち1人への支給停止は違法と判断し処分の取り消しを命じた。残り8人の訴えは棄却し、「一律支給」は認めなかった。

過食などが一因の2型糖尿病と異なり、1型は何らかの理由で膵臓(すいぞう)の細胞が破壊されたことで発症する。根治は見込めず、インスリン投与が生涯欠かせない。

9人はいずれも未成年で発症。平成12~26年に障害等級2級に認定され、年金を受給していた。ところが28年までの審査で、年金支給対象外の3級に変更された。詳細な理由は示されず、9人は支給再開を求めて大阪地裁に提訴。地裁は31年4月、支給停止の明確な理由を示さなかった国の手続きを違法と判断し、支給停止処分を取り消した。

ところが国は判決から1カ月後、9人は3級が妥当だと再び判断し、改めて支給停止を通知。9人は再び提訴していた。

裁判で原告側は、国民年金法の規定を踏まえ、症状が改善していない状態での2級から3級への変更は不当だと主張。森鍵裁判長は判決理由で、審査時点の症状が3級に該当すれば等級を変更し、年金の支給を停止するのが適切だと指摘。ただ、かつて9人をいずれも2級とした国の判断には触れなかった。

また、支給停止処分を取り消した31年4月の判決確定後に、国が再び支給停止を通知したことは、関係法令の要件を満たす形で具体的な理由を原告らに提示したと認め、適法と退けた。

判決によると、審査時点の病状が「独力での日常生活が極めて困難で、労働により収入を得ることができない」状態を2級の基準に設定。8人についてはこの基準を満たさず3級に該当するが、1人は病状が重く、支給停止の理由はないとした。

判決後の会見で、弁護団長の川下清弁護士は「極めて不当な判決」と指摘。原告の一人で請求を棄却された滝谷香さん(38)=大阪府岸和田市=は「(報道などで)1型糖尿病のことを少しでも分かってもらえた。1人でも認められたから進歩だと思う」と話した。一方で「私たちの命ってどう思われているんだろう。将来が不安になりました」と声を震わせた。

厚生労働省は「国の主張がおおむね認められた」とコメントした。

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