一人親方救済「仏壇に報告」 建設石綿訴訟 10年間の訴え認められた

建設アスベスト(石綿)の集団訴訟をめぐり、最高裁で17日、国と建材メーカーの賠償責任を認めた初の統一判断が示されたことを受け、大阪市内で会見した大阪訴訟の原告らは「10年間訴えてきたことがほとんど認められた」と喜びを語った。一方で、健康に不安を抱えながら声を上げられていない元作業者らも少なくなく、「国やメーカーに速やかに救済と解決に動いてほしい」と訴えた。

「提訴したときには元作業者の原告が多くいたが、この10年で6人が亡くなった。きょうの最高裁判決を聞かせてあげたかった」

大阪訴訟共同代表の元内装工、郡家(ぐんけ)滝雄さん(71)=大阪市=は、喜びと悔しさが混じった複雑な気持ちを吐露した。

長く建設現場で働き、体調不良を覚えたのは平成15年ごろ。息切れなどの症状は年々悪化し数年後には仕事を諦めざるを得なかったが、23年の提訴当初から原告団に加わり、酸素ボンベが手放せない病状となっても危険なアスベストを長年使わせ続けた国やメーカーの責任追及を続けてきた。

最高裁判決を一定の区切りと感じる一方、「労災認定がされていない仲間や声を上げられていない元職人たちが多くいる」と話し、救済を広める活動を続けていきたいと力を込めた。

解体工の「一人親方」だった夫の巌(いわお)さん=当時(70)=を8年前に肺がんで亡くした川原千鶴子さん(69)=神戸市=は、巌さんが労働者ではなかったことなどを理由に大阪高裁で訴えが認められなかったが、最高裁が一人親方を救済対象に含める判断を示し、審理が高裁に差し戻されることになった。

差し戻し審では巌さんの被害について国の責任が認められる見通しで、川原さんは「家族のために頑張って働いてくれたお父さんの仏壇に、『良かったね』と報告したい」と声を詰まらせた。

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