逮捕・起訴状の匿名化諮問へ 法務省、性犯罪被害者ら保護

上川陽子法相(春名中撮影)
上川陽子法相(春名中撮影)

上川陽子法相は18日の閣議後記者会見で、性犯罪被害者らの氏名などの情報が加害者側に伝わることを防ぐため、20日の法制審議会(法相の諮問機関)の総会に、起訴状や逮捕状などで被害者名などを秘匿できる刑事訴訟法の改正を諮問すると明らかにした。

刑事手続きでは、容疑者に逮捕状や勾留状を提示したり、被告に起訴状を送達することを通じ、被害者の氏名や住所などが知られる可能性がある。性犯罪やストーカー事件などでは報復を避けるため、被害者が事件化をためらうこともあり、法務省などでは被害者の保護に向けて匿名化を検討してきた。

法務省案では、被害者名などの入った起訴状の謄本に代え、氏名の記載がない抄本を被告に送達。逮捕状や勾留状も、被害者名を伏せた抄本を容疑者に示すなどとしている。上川氏は「(容疑者や被告の)防御権に配慮しながら、被害者の氏名を知られない措置を整備したい」と述べた。

被害者名の記載をめぐっては、平成24年に神奈川県逗子市で起きたストーカー殺人事件で、男が前年に脅迫容疑で逮捕された際、警察官が逮捕状に記された被害女性の住所などを読み上げたことが問題化。警察や検察は事件の内容次第で逮捕・起訴状の被害者名を秘匿しているが、裁判官によっては冤罪防止の観点から被害者名を書くよう要請するケースもあるという。このため、28年に成立した改正刑訴法の付則に匿名化が検討事項として盛り込まれていた。

会員限定記事会員サービス詳細