手抜きのススメ コロナ禍で「限界ごはん」レシピ本好調

(左から)「祥子さんこの知恵、いただきます」 、「もうがんばれない日のための限界ごはん」(鴨志田拓海撮影)
(左から)「祥子さんこの知恵、いただきます」 、「もうがんばれない日のための限界ごはん」(鴨志田拓海撮影)

簡単料理のレシピ本が売れている。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置で外食が制限され、コンビニなどの弁当も飽きたという人のおうちごはん需要とマッチしたようだ。

がんばり過ぎは禁物

3月下旬に発売即重版となり、現在3刷1万1000部の「もうがんばれない日のための限界ごはん」(KADOKAWA)は、イラストレーター、杏耶(あや)さんのコミックエッセー。タイトルの「限界ごはん」は、体力も気力も限界を超えてしまったときでも簡単に作れる料理のこと。杏耶さん自身が限界までがんばり過ぎたときに簡単料理で救われた経験があり、従来の料理の常識にこだわらず、「この工程はなくてもいいのでは?」「やはり必要だった!」など試行錯誤して考え出したオリジナルレシピ29品を紹介している。

KADOKAWAコミックエッセー編集課の深川奈々さんは「20~40代未婚女性がメインの購買層だが、主婦や男性の購入も多い。コロナ禍でおうちごはんの機会が格段に増える中、手抜き料理への需要が高まっている」と指摘する。

コンロは使わず電子レンジ▽ショウガやニンニクはチューブ▽キッチンバサミを活用してまな板を使わない-など、手を抜けるところはとことん抜いた限界ごはんの中には、豚汁やグラタン、茶わん蒸しなど「ごちそう」といっていい料理も。中でも茶わん蒸しは、火加減や加熱時間によってすが入ることがあり難しい料理とされているだけに、電子レンジで3分弱、しかもぷるんぷるんにできるとは驚きだ。

本書はコロナ禍となる前から編集作業を進めており、もともとは「疲れきっている日でも作れる、これ以上体調を崩さないためのごはん」を目指して企画されたという。このため管理栄養士が監修し、それぞれの料理にどんな栄養があるかまで分かる内容となっている。

杏耶さんは「温かい食事は心も体も癒やしてくれます。限界ごはんで無理のない生活をしていきましょう」と話す。

見ているだけでほっこりした気持ちになれる杏耶さんの料理のイラストも必見だ。

ベテランの集大成

一方、1月下旬発売の大ベテラン料理研究家、村上祥子(さちこ)さんの「祥子さん この知恵、いただきます」(東京書籍)も3刷1万5000部と好調だ。

電子レンジ調理の第一人者である村上さんのモットーは「カンタン、手をかけなくてもいい。でも、必ず食べる」。

本書は、マグカップに野菜・肉・ルー・水を入れて電子レンジでチンするだけで作る「マグカップ調理」▽凍ったまますぐ使える「1食分冷凍パック」▽酢タマネギやオイルしょうがの「健康保存食」-など、村上さんがこれまでに編み出したさまざまな調理の工夫・料理術を余すことなく詰め込んだ、いわば村上さんレシピの集大成本。

村上さんと同世代のシニア層を意識して編集したが、実際の購買層はシニア世代はもちろん、子育て世代、シニア以外のひとり暮らしの男女など、幅広い層に売れているという。

出版事業部の山本浩史さんは「コロナ禍で、自分で料理を作ることが改めて見直されている。自分で作って食べることに対してのハードルを限りなく下げてくれる本書を、毎日の食事作りに役立ててもらえれば」と話している。