協力しても赤字
男性が経営する店舗では、これまでの時短営業に応じ、アクリル板の設置など感染症対策も行った。それでも売り上げはコロナ禍以前の5割ほどで1店舗は閉店。協力金がなければさらに営業は厳しくなる。
男性は都のホームページが煩雑で、コールセンターにもつながらず、支給までに時間がかかることがこの事態を招いたとする。飲食店などの見回りも重要だが、コールセンターや審査する人を増やしてほしいとし、「協力金で生きながらえる店は多い。少しでも飲食店が続けられるよう柔軟に対応してほしい」と訴えた。
売り上げ減でも変わらない固定費
別の飲食店も協力金の支払いの遅さや分かりづらさを訴える。JR新橋駅近くの居酒屋「根室食堂新橋店」の平山徳治店長(49)は資金繰りの厳しさを訴える。協力金が入金される前に人件費や家賃などの固定費の支払期限が来るからだ。1~2月分の給付は4月、2~3月分は5月にようやく入金された。
給付金の受付開始日自体が遅く、書類提出後にも書類の不備などで何度も職員とやりとりをするという。平山さんは「いつも同じ形式で申請書類を提出しているのに、毎回書類の不備で連絡がくる。こちらからかけると100回かけても電話がつながらないこともある」と打ち明ける。
3回目の緊急事態宣言に伴う酒類提供の自粛が追い打ちをかける。コロナ禍前の4月は歓送迎会などで多くの客でにぎわう時期だったが、今年は例年の2割程度。だが、固定費は変わらないため、赤字にならざるを得ない状況だ。
平山さんは「家賃の支払いを1カ月猶予してもらったり、自身の貯金を切り崩している」と苦しい状況を吐露する。「行政は民間業者へ委託するなどして、1カ月でもいいから支給を早めてもらいたい」と悲痛な声をあげた。