【政論】早期に改憲議論に着手を 野党の遅延戦術もう許されない - 産経ニュース

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早期に改憲議論に着手を 野党の遅延戦術もう許されない

国民投票法改正案が修正の上、賛成多数で可決された衆院本会議=11日午後、国会(春名中撮影)
国民投票法改正案が修正の上、賛成多数で可決された衆院本会議=11日午後、国会(春名中撮影)

憲法改正手続きに関する国民投票法改正案が今国会で成立する見通しとなったことを受け、次の焦点は憲法改正原案の取りまとめに移る。新型コロナウイルスの蔓延は現行憲法の課題を浮き彫りにした。与野党は国民の生命を現実的に守るという自らの責務を自覚し、最高法規の不備を早期に解消すべきだ。

今回、改正案の付則には、立憲民主党の主張により、施行後「3年をめど」にCM規制などに関する措置を講ずることが明記された。今後、与野党で具体的な規制の在り方が検討されるだろうが、憲法改正そのものに関する議論は同時並行で進めることが可能だ。「3年をめど」というフレーズを恣意的に解釈し、改憲議論を遅らせるような動きがあってはならない。

新型コロナ対策に追われる国会で議論の必要性が叫ばれているのが、緊急時に限って政府の権限強化を可能とさせる緊急事態条項の新設だ。都市封鎖(ロックダウン)などに踏み切らざるを得ない事態を見据え、「立憲主義」の観点から法的根拠を憲法に事前に明記すべきだとの指摘がある。

「衆院議員の任期は4年」と明記している憲法45条を改正し、緊急時には延長を可能とさせるかどうかという議論も待ったなしだ。現在の衆院議員の任期満了は10月21日。深刻な感染症や大地震などの影響で新たな衆院議員の就任が困難となれば、緊急時に国会は機能不全に陥る。

立民の枝野幸男代表は「憲法で感染防止のために必要な私権の制限は『公共の福祉』にかなうものとして認められている」と指摘し、緊急事態条項は必要ないとの立場を明確にした。ただ、「現行憲法のままでも私権は制限できる」との主張が、立民の議員や支持者を含めどれだけの賛同を得られているのだろうか。

また、東日本大震災が発生した際には内閣府の参事官が国民の権利の規制に消極的な見解を示した。抜本的な対策を講じる上で現行憲法が心理的な重荷となっている可能性があるだけに、国会は改憲の要否を早期に判断すべきだ。

45条改正に関しても、憲法に「参院の緊急集会」が規定されていることを理由に不要論が聞こえる。しかし、国難が参院議員だけを素通りしてくれる保証はどこにもなく、国会は「万が一」への備えを入念に練っておくべきだろう。

ローマ帝国の土台を築いたユリウス・カエサルは「多くの人は、見たいと欲する現実しか見えない」と指摘し、リーダーたる者は客観的に情勢を把握する必要があると喝破した。令和の政治家は「見たくはないが避けられない現実」を直視し、正面から憲法改正に向き合うべきだ。(内藤慎二)