「あの日」の東松島の教訓、全国に 職員らの証言まとめた記録誌発行

宮城県東松島市の職員らの証言をまとめた記録誌「あの日を語り伝える」=10日(塔野岡剛撮影)
宮城県東松島市の職員らの証言をまとめた記録誌「あの日を語り伝える」=10日(塔野岡剛撮影)

東日本大震災は11日で発生から10年2カ月。震災で1110人が犠牲になった宮城県東松島市の震災当時の行政対応を全国の自治体の防災に役立ててもらおうと、震災伝承などの活動を行う一般社団法人「東北地域づくり協会」は10日、同市職員らの証言などをまとめた記録誌「あの日を語り伝える」を発行した。同協会の渥美雅裕理事長は「住民を(災害から)守るためにどのようなことを学ぶか、考えるヒントにしてほしい」としている。

この日、同市役所で行われた会見には、渥美理事長や同市の渥美巌市長らが出席。渥美市長は「自治体は住民の命を守る最前線を担う。証言を生かして、いざというときに備えてほしい」と語った。

今後、発生が懸念される南海トラフ地震で、内閣府が最大34メートルの津波到達と試算している高知県黒潮町が防災計画を策定する際、震災の教訓を学ぶために同協会に協力を依頼したことが、記録誌発行のきっかけだった。同協会では令和元年5月から約9カ月間にわたり聞き取り調査を実施。震災前から自主防災組織をつくるなど進んだ取り組みをしていた同市の職員に加え、震災当時に指揮を執った前市長の阿部秀保氏ら53人の証言をまとめた。

記録誌には、震災時の情報把握や避難所運営の様子が、証言とともに記載されている。渥美理事長は「全国の自治体の防災担当者が震災の教訓を学び、それぞれの自治体の防災に役立てる機運を高めたい」と説明している。

同協会では、記録誌を全国の自治体と関係機関向けに約2千冊郵送。また、記録誌の内容は協会のホームページでも今後公開し、誰でも閲覧することができるようにするという。

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