日光東照宮の神霊宿るみこし、ベトナムへ

完成したみこし。中央上部には眠り猫の彫刻が施されている=4月、日光市山内の日光東照宮(根本和哉撮影)
完成したみこし。中央上部には眠り猫の彫刻が施されている=4月、日光市山内の日光東照宮(根本和哉撮影)

世界遺産「日光の社寺」の一つ、日光東照宮(栃木県日光市)の神霊が初めて国外に分祀(ぶんし)されることが決まった。関東でホテルを手がける「ホテル三日月グループ」の発案で、東照宮の神霊が宿ったみこしが製作され、同グループが今夏開業するベトナム・ダナンのリゾートホテルに安置される。みこしは東照宮の装飾の意匠がふんだんに込められた荘厳なものとなっており、現地で世界平和や日越両国の文化交流のシンボルとなることが期待されている。(根本和哉)

世界平和を発信

ダナンはベトナム中部の港湾都市で、近年リゾート地として人気が高まっている。同所にホテルを開業するにあたり、日光市内の鬼怒川温泉にホテルを持つ同グループが「ベトナム戦争で傷ついた現地へ東照宮を分祀し、世界平和の理念を発信できないか」と東照宮側へ提案し、初の国外分祀が決定した。

当初は神社そのものを建てる構想だったが、現地の気候に木造の社屋が向かないため断念。代わりに神霊を宿したみこしをホテルのロビーに鎮座させることに決まり、みこしや祭礼具の製作を手掛ける宮本卯之助商店(東京都台東区)が、構想期間を含め約1年8カ月かけて製作した。

完成したみこしは黄金に光り輝き、「三猿」や「眠り猫」といった東照宮の彫刻が本物同様に再現されている豪華なもの。4月に行われた完成奉告の儀で、同商店の宮本芳彦社長は「非常に光栄な機会だった。東照宮の意匠をどうみこしに落とし込むかを考え、眠り猫や麒麟などを象徴的に配置した」と手応えを語った。東照宮の稲葉久雄宮司も「素晴らしい出来栄え。(ベトナム戦争で傷ついた地に)世界の平和の神様である(徳川)家康公の御霊(みたま)が渡ることは意義深い」と感慨深げに語った。