ワクチン特許放棄で米欧対立 EU「まず輸出を」 仏大統領も「米国の規制こそ問題」と主張

フランスのマクロン大統領=3月31日(ロイター)
フランスのマクロン大統領=3月31日(ロイター)

【パリ=三井美奈】米国が新型コロナウイルスワクチンの特許を一時放棄する提案を支持したことに対し、8日にポルトガルで行われた欧州連合(EU)首脳会議で否定的な意見が相次いだ。ミシェルEU大統領は「魔法の解決策にはならない」と述べ、ワクチン輸出を促すことが重要だと主張した。

フランスのマクロン大統領は記者会見で「米国は、ワクチンや材料の輸出規制をやめよ。途上国での生産を増やすカギは、禁輸解除だ」と発言。世界的なワクチン供給の遅れは、米国の規制が一因だと指摘した。

ドイツのメルケル首相は「特許放棄は、ワクチンをより多くの人に分配するための解決策にならない」として、ワクチンを開発した製薬会社が生産管理できなくなれば、粗悪品が出回る危険があると警告した。

EUはこれまで、域内で生産されたワクチンの約4割を輸出し、国際的な共同購入の枠組み「COVAX」にも供給してきた。一方、バイデン米政権は自国接種を優先するため「国防生産法」を発動し、ワクチンや関連物資の国外輸出に歯止めをかけた。

EU内の製薬会社からは、米国の規制でワクチン材料の供給網が妨げられたとの指摘も出ており、EU側の姿勢の背景には米国の政策への強い不満がある。

特許の一時放棄は、インドと南アフリカが世界貿易機関(WTO)で提案した。