今年は、ちょっとした徳川慶喜ブームのようです。これは渋沢栄一を主人公にして現在、幕末を描いているNHK大河ドラマ『青天を衝(つ)け』の影響によるものでしょう。「近代日本資本主義の父」といわれる渋沢ですが、年齢や経歴を考えるとさすがに「幕末の主役」にはなりえないため、草ナギ(=弓へんに剪)剛さんが好演している慶喜が第2の主人公として起用されたのでしょう。この先、歴史の糸と絆で結ばれた両人の姿を描くことによって、新型コロナウイルス禍に翻弄されている現代社会に光明や「生きるヒント」をもたらす作品になるよう期待しています。
さて慶喜はいうまでもなく、幕末史上でも群を抜いて重要な存在です。なので幕末史を対象とするテレビの歴史番組にはしばしば登場します。しかも彼は、これまた群を抜いてその行動の意図が普通の人間には理解しがたいという、いわば「無常識」の人物です。したがって歴史番組の作り手の方々はある意味、慶喜には「つっこみ所満載」でありがたい存在だと受けとめられているようです。