体全体を大きくひねる豪快なフォームが竜巻のように見えることから、名付けられた。日本人メジャーリーガーの先駆者、野茂英雄投手のトルネード(竜巻)投法である。
▼もっともそれ以前から米国で「ミスター・トルネード」の愛称で親しまれた人物がいた。1998年に78歳で亡くなった気象学者の藤田哲也さんである。北九州市出身の藤田さんは53年に渡米、シカゴ大学で竜巻の研究を始めた。
▼ラジオやテレビで市民に呼びかけ竜巻の写真を大量に集めて解析したり、小型飛行機で空から観察したりと、研究手法は独特だった。竜巻の構造を解明していくなかで、藤田さんは疑問を抱く。なぜ竜巻には、地震におけるマグニチュードのような尺度がないのか。被害状況や最大風速から竜巻の強さを分類する「F(フジタ)スケール」を編み出し、世界各国で使われるようになった。