朝晴れエッセー

年間賞に鈴木真衣子さん(41)の「4本目のリコーダー」

 門井さん 休校ロス 小道具に託す

 玉岡さん 思い出よみがえる力もつ

 玉岡 いつも思うのですが、いい作品を選んできましたね。

 門井 僕は1年を通して作品を選んだのは初めてでした。読み直してみて、僕もいい作品を選んだと思いました。

 玉岡 こうして読み返すと、選んだときのことを思い出します。月間賞に選ばれた方々の「受賞の言葉」を読むと、喜んでもらえたことがよく分かり、何よりですね。11月月間賞の「もしかしてコロナ?」の一瀬靖子さんは91歳でした。受賞の言葉では、「これこそ、冥土の土産!!」と喜んでいただきましたね。

 山田 皆さんの評価をみると…。まず「4本目のリコーダー」から参りましょうか。この作品は3人の評価がそろいました。

 門井 休校が明け、学校へ子供たちが戻る「休校ロス」という思いを評価しました。この1年間の月間賞受賞作は新型コロナものが多かったですが、読み返すと過去の話となり、コロナ禍は続いていても時を置いて読むと迫力がなくなりがちです。

 しかし、この作品は違いました。過去のことではありますが、古びた感じがしません。リコーダーという小道具が効いているからだと思います。道具に密着し、「自分史」を書く。王道です。時を経て読んでも色あせません。

 玉岡 息子さんたちと筆者で4本で演奏していたのが、学校が始まって家で音は1本だけになり、聴いているのは水槽の魚だけという表現が休校ロスの寂しさをうまく表しています。巣ごもりで盛んだったネット通販など、自粛期間中の風景がもれなく盛り込まれていました。何年かたってみても、思い出がよみがえる力をもった作品だと思います。

 山田 後半に出て来る名無しの1本が残ったという表現がうまいと思いました。コロナは依然厳しい状況ですが、こうして前向きなものを見つけて過ごしている家庭があることがリアルに分かってよかったです。玉岡先生と門井先生の評価が重なった「神社まいり」はどうでしょうか。

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