【ソウル=桜井紀雄】先進7カ国(G7)外相会合の招待として訪英中の韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と、ブリンケン米国務長官は3日、ロンドンで会談した。韓国外務省の発表によると、21日に米国で予定されているバイデン大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対面で初となる首脳会談の準備状況などについて協議し、「朝鮮半島の完全な非核化」に向け緊密に連携していく方針を確認した。
ブリンケン氏は会談で、バイデン政権が最近、見直し作業を終えた新たな北朝鮮政策について説明。鄭氏は「現実的な方向での決定だ」と歓迎の意を示した。
バイデン政権は、新たな対北政策について、トランプ前大統領が目指したような完全な非核化と制裁の全面解除といった「一括取引」とも、「戦略的忍耐」と称するオバマ元大統領時代の事実上の問題放置とも異なる「実用的なアプローチ」だとしている。
だが、北朝鮮は2日、対北「抑止」を強調したバイデン氏の施政方針演説などに反発し、米韓に相応の措置を警告する3つの談話を立て続けに発表。バイデン氏が「(対北)敵視政策を旧態依然として追求する意味が込められている」と批判しており、今のところ、北朝鮮が米側の新たなアプローチを受け入れる可能性は極めて低い。
北朝鮮は談話の一つで、バイデン政権による北朝鮮の人権状況への批判にも激しく反発。文政権は北朝鮮を刺激しないよう人権問題には及び腰で、一連の警告には、米韓の足並みの乱れを誘う狙いもあるようだ。