特派員が見たコロナ感染のいま(下) ワクチン接種が最大の課題、格差懸念も(2/3ページ) - 産経ニュース

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特派員が見たコロナ感染のいま(下) ワクチン接種が最大の課題、格差懸念も

英国・ロンドン 収束に手応え

 英国のイングランドでは4月12日から、パブやレストランなどの屋外営業が約4カ月ぶりに再開された。ロンドン市内の飲食街では屋外のテーブルでマスクを着用せず、大勢の客が毎日のように食事や飲酒を楽しんでいる。

 マスクを着用していない客には1回目のワクチン接種を済ませた市民が多い。ロンドンの自営業、ジョン・メイヤーさん(55)もその1人で、「接種によって感染への恐怖心がほとんどなくなった」と話す。

 ワクチン接種が早く進む英国では4月12日に50歳以上に対する1回目の接種が完了。ロンドンでは予約なしで接種できる会場も増え、7月末には全成人への1回目の接種が終わる見通しだ。

 英全土で1月上旬には5万人を超えた1日当たりの新規感染者数は4月下旬に約2千人に減少。ワクチンの効果を実証する調査結果も相次ぎ発表され、市民は感染収束への手応えを感じている。

 しかし、飲食店の屋外席とは異なり、マスク着用が義務化された電車内や店舗内でもマスクなしの市民の姿が目立っている。ロンドンの女性会社員(32)は「この油断が感染の再拡大につながらなければよいが…」と不安を口にした。

 マスク着用義務の違反者には罰金最大200ポンド(約3万円)が科されるが、実際に摘発されるケースはまれ。ジョンソン首相は対策を徹底しなければ、年内に再び感染が拡大する恐れがあると訴えている。

(ロンドン 板東和正)

フランス・パリ 都市封鎖疲れ、顕著に

 パリは新型コロナウイルス対策の都市封鎖が続き、昨年から飲食店や劇場、美術館が閉まっている。美食と文化に乏しい「花の都」で、変わらぬパリ名物は抗議デモ。4月末にはエッフェル塔前に約2万人が集まり、司法改革を要求した。

 政府の規則では屋外でも集会は6人以下、自宅から10キロ圏外への移動は原則禁止、ということになっている。参加した知人に「大丈夫なの?」と聞くと、「デモは民主主義の権利。政府も認めている」と逆に叱られた。調べてみると、彼の言う通り、デモは「公益のための外出」ということで、規制の対象外だった。

 都市封鎖は昨年3月から断続的に続くだけに、自粛疲れは明らか。4月の週末は好天続きで、パリの公園はどこも大混雑になった。カフェやデパートが閉まり、散歩の行き先に乏しいので、逆に「密」になる。

 商店営業は生活必需品に限られているが、定義も難しくなってきた。当初はスーパーや食品店だけだったのが、今は書店や花屋もOK。服飾業界には「不公平だ」という不満がたまる。最近は、全国の縫製職人たちが「これも必需品」と訴え、レースの高級下着を首相府に送り付ける「抗議デモ」まで起きた。

 変異株は感染力が強く、都市封鎖は昨年に比べ、効果が見えにくくなった。1日当たりの新規感染者は4月下旬も全国で連日3万人を超えた。政府はワクチン接種に望みをかけ、5月から外出規制の緩和に踏み出す方針だ。

(パリ 三井美奈)