韓国最大野党「国民の力」で暫定的な党代表、非常対策委員長を先月まで務めた金鍾仁(キム・ジョンイン)氏は本紙インタビューで、日韓関係改善に向け「国際環境の変化に伴う両国の利害を再検討すべきだ」と強調した。主なやり取りは以下の通り。
--2016年以降主要選挙で連敗が続いた保守系野党を、4月の市長選で圧勝に導いた
「党には長年の『タブー』があった。光州事件(1980年、民主化運動の鎮圧に軍が投入され、多数の死傷者が出た事件)の責任を認めず、朴槿恵(パク・クネ)前大統領が弾劾された事件でもまともな謝罪をしなかった。時代の流れに合わせて対応を全て変え、党名も変えた」
「その過程で、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長(当時)がセクハラで秘書に告訴され、自殺した問題などが起こり、選挙が行われることになった。文在寅(ムン・ジェイン)政権がこれまで、不動産問題などで市民にとって不快な政策を繰り返してきたことを強調し、勝利を挙げることができた」
--文在寅政権誕生に貢献した立場から一転し、野党の再建に乗り出した理由は
「与党は政権奪取後、『(今後)20年、執権を維持する』などと、傲慢な発言が目立っていた。与党がダメなら野党を選択できるというのが民主主義の良いところでしょう。均衡を図るために助けることにした」
「政権は10年続くと、昔のやり方にとらわれ、時代に適応できなくなる。自民党政権が続きダイナミズムが失われている日本にも通じる問題だ」
--日韓関係の改善に向けては、文政権下で協議が停滞している
「問題は複雑に絡まり、解決は次期政権にやってもらうほかない。国際環境、地政学的要件が変化していることを考慮することが重要だ。中国の度を越した膨張が進み、米中の対立が深まる中で、日韓間には以前と異なる利害関係がある。それらをすべて再検討すれば、両国の最大公約数を計算できる。指導者には問題を解決する意思と、それぞれの自国民を説得する力が必要だ」