「派閥の推薦を無視する閣僚の起用を『一本釣り』などと呼ばれたが、派閥に相談しろ、なんてことは憲法にもどこにも書いていない。(参院で郵政民営化法案を否決されて衆院を解散した17年の)郵政解散も憲法には全く反していない。基本に忠実だったところが小泉氏の強さだったのではないか」
「当時、民主党がテレビCMで船のかじをとる代表の小沢一郎氏が強風に吹き飛ばされ、鳩山由紀夫氏と菅直人氏が救出するという劇を流していた。自民党議員は『船長はかじを離してはいけない』などとコメントをしていたが、小泉氏の批評はまるで違って『政治家は演技をしてはいけないよな』と言うのだ。劇自体が虚構の世界だから、という趣旨だったが、本質を見抜く力がずば抜けていた」
--小泉氏の歯切れの良さはワンフレーズ・ポリティクスなどとも呼ばれた
「私もそのことを『総理の即答のタイミングはすごい』と雑談で触れたことがあったが、小泉氏は『あれは相撲の立ち合いと一緒だ』というのだ。つまり、相撲も左に回って、右上手を引く、などと考えていたら一瞬で負けてしまう。即答ができるように『稽古をしている』というのだ。小泉氏はオペラや歌舞伎、歴史小説が好きだが、今風に言えば『イメージトレーニング』をしていたわけだ」