深層リポート

地価上昇地点ゼロ 関東の県庁所在地で唯一地価下落が続く水戸

【深層リポート】地価上昇地点ゼロ 関東の県庁所在地で唯一地価下落が続く水戸
【深層リポート】地価上昇地点ゼロ 関東の県庁所在地で唯一地価下落が続く水戸
その他の写真を見る (1/2枚)

3月に国土交通省が公表した令和3年1月1日時点の公示地価で、商業地、住宅地の価格上昇地点がともにゼロだった県庁所在地は、関東地方では水戸市だけだった。なぜ県の顔であるはずの県都の地価が下がるのか。

目立つ空き地

水戸市の中心地、JR水戸駅の北口を出ると、ビルが立ち並ぶ通りに大きな更地が目に入る。平成21年まで西友が運営元の大型店「リヴィン水戸店」があった場所だ。かつて県内最高価格地点だった北口の商業ビル「マイム」周辺も、30年に百貨店の「丸井水戸店」が同ビルから撤退し、今年の公示地価では前年から1・5%下落した。

一方で、つくば市の商業ビル「つくば三井ビル」周辺は1・8%上昇し、3年連続県内最高地点を記録。住宅地と商業地の県内地価上位5地点も県南部のつくば市と守谷市がほぼ占め、県内の南北格差が鮮明に映る。

北関東3県で比較しても、水戸市の下落傾向は突出している。同市は地価の上昇地点がなかったのに対し、宇都宮市は住宅地、商業地ともに前年変動率の上位5地点を独占。前橋市は商業地の上昇地点はなかったが、住宅地5地点で価格が上昇した。

人口が分散

水戸市の地価衰退にはいくつかの理由がある。

1つは地形だ。山が多い栃木、群馬両県と異なり、茨城県は水戸市以外も平地が多く住みやすい。1月1日時点で水戸市への人口集中率は約9・4%で、宇都宮市約26・9%、前橋市約17・2%と比べると、茨城県の人口が分散していることが分かる。

水戸市内における官民の郊外進出で、中心市街地からの分散も進んだことも要因だ。11年、水戸駅北口近くにあった県庁舎が、同駅から南に約4キロ離れた郊外に移転。17年には同駅から3駅離れたJR内原駅付近に「イオンモール水戸内原」がオープンし、駐車場完備の大型商業施設は車移動中心の水戸市民の心をつかんだ。対照的に、21年、水戸駅北口のリヴィン水戸店が閉店し、近くの中小小売店も姿を消した。