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前途多難のJR西 コロナ長期化「想定外」 黒字転換みこむも…

JR西日本の在来線車両(手前)と山陽新幹線=30日午後、大阪市淀川区(鳥越瑞絵撮影)
JR西日本の在来線車両(手前)と山陽新幹線=30日午後、大阪市淀川区(鳥越瑞絵撮影)

 JR西日本が30日発表した令和3年3月期連結決算は、最終損益が2332億円の赤字と、昭和62年の民営化以降、最大の赤字額を記録した。新型コロナウイルス感染拡大で、鉄道事業も、その他の事業も深刻な打撃を受けた。令和4年3月期が30億円の最終黒字に戻るとみているが、コロナ禍が予想以上に長引いているうえワクチン接種が遅れており、シナリオが想定通りに進むのは至難の業だ。(黒川信雄)

 「昨年に続き、今年のゴールデンウイーク(GW)も『ステイホーム(在宅)』になるとは、正直想定していなかった」

 JR西日本の長谷川一明社長は30日の決算発表会見でこう述べた。

 同社の売上高の半分以上は運輸収入。そのうち約8割が新幹線と近畿圏の在来線によるものだ。

 しかし、新幹線の利用者数は落ち込んでおり、今年3月はコロナ禍前の約4割にとどまった。政府の緊急事態宣言の発令を受け、今年のゴールデンウィーク(GW)の山陽新幹線の予約件数はコロナ禍前の15%程度まで落ち込んでいる。在来線も3月は利用者数はコロナ禍前の7割だった。

 運輸事業以外も低迷しており、本業で稼げているかを示す営業損益が黒字になったのは不動産事業のみ。ショッピングモールなどの流通業や、ホテルなど「その他」事業は赤字だった。

 それでも、最終赤字の幅が、昨年9月に予想していた2400億円より少なくなったのは、大幅なコスト削減を進めたためだ。3年3月期のコスト削減額は当初700億円を予定していたが、実際には1100億円で400億円上積みされた。

 具体的には社員を対象に一時帰休を実施。社員の賞与削減や広告費の抑制なども行った。4年3月期も社員の出向や終電の繰り上げなどを行うほか、来春に計画されていたダイヤ改正の一部を今秋に前倒しで行い、「減便などを検討していく」(長谷川氏)。

 もっとも、コロナ禍の長期化やワクチン接種の遅れは計画を狂わせそうだ。

 JR西によると、4年3月期に見込むコロナによる減収額は3100億円。3年3月期の6080億円から半減する見通しだ。

 しかし、その前提は、ワクチン接種の進展で10月に旅客者数がコロナ禍前の9割程度まで回復することだ。足元ではウイルスの変異株の蔓延で新規感染者数が高止まりしており、想定通りの回復は簡単ではない。

 長谷川氏は新たに、スマホのアプリを使った新サービスや法人向けサービス強化などを掲げたが、収益の柱に育つには時間がかかる。JR西を取り巻く環境は厳しさを増している。