ワクチンの高齢者接種「7月末までに完了を」 政府が自治体に通知

 政府は30日、新型コロナウイルスワクチンの65歳以上の高齢者に対する接種を7月末までに完了するよう求める通知を都道府県に発出した。「できる限り早期に重症化リスクが高い高齢者への接種を完了することが必要だ」として、完了時期を8月以降とする市町村には計画の前倒しを求めた。菅義偉首相は30日、日本医師会の中川俊男会長との会談で7月完了の方針を重ねて表明し「供給は具体的見通しが立っており、残る最大の課題は接種体制の確保だ」と協力を求めた。

 通知では、全市区町村ごとに、5月下旬~6月最終週までの具体的なワクチンの配送量も示した。全高齢者が2回接種できる量が6月末までに届く。河野太郎ワクチン担当相は30日の記者会見で「自治体には積極的に(接種計画)前倒しの調整をお願いをしたい」と述べた。

 一方、岸信夫防衛相は30日の記者会見で、自衛隊の医官や看護官を動員して運営する大規模接種センターについて、事前予約制とする考えを示した。

 混雑を避けるためで、予約は電話に加え、無料通信アプリのLINEなどを活用する。岸氏は「(自治体による接種との)重複など、混乱が起きないように情報共有を進めたい」と語った。

 大規模接種センターは、東京都と大阪府で5月24日に開設される予定。河野氏は記者会見で「首都圏をはじめ、いくつかの県から(設置を検討していると)連絡がある」と述べ、他県でも設置が進むとの見通しを示した。

 また、田村憲久厚生労働相は30日の記者会見で、大規模接種センターで用いる米製薬大手モデルナ製ワクチンの特例承認について「全てうまくいけば5月中ということも可能だ」と述べた。「なるべく早く審査し、判断する。承認されれば供給された物は、すぐに接種に向かっての体制に入っていく」と語った。

 モデルナ製ワクチンを積んだ日航機は30日、ベルギーから関西空港に到着した。零下20度前後で保管が可能とされ、承認まで国内の倉庫で保管される。

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