「老老介護」相次ぐ悲劇 追い込まれる当事者 新型コロナも追い打ちに(2/2ページ) - 産経ニュース

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「老老介護」相次ぐ悲劇 追い込まれる当事者 新型コロナも追い打ちに

 介護問題に詳しい介護者メンタルケア協会の橋中今日子代表は「在宅介護者は長期的な疲労が募り、閉塞(へいそく)感や絶望感、経済的負担などが複合的に影響して困窮し、事件に至ってしまうことも多い」と分析する。

 橋中氏は、閉ざされた環境に置かれた介護者の選択肢が狭まり「苦しい状況から抜け出そうと衝動的に自殺や心中を図りかねない」とも指摘。「迷惑をかけたくない」「自分でやり遂げる」などの思いから、行政や周囲の支援を受けないケースは少なくないという。

追い込まれる当事者…総合的支援が不可欠に

 家族の介護負担を軽減するための「介護保険制度」が十分活用されていない実態も浮かぶ。厚生労働省によると、令和元年度、家族らから虐待を受けた高齢者は1万7427人(1万6928件)。このうち、68%が介護サービスを利用することが可能になる「要支援」や「介護」の認定を受けていた。

 虐待の要因では「介護疲れ・介護ストレス」が5割近く。同年度、家族らによる殺人、傷害致死、心中などの事件で15人が亡くなっている。被害者の半数以上は、介護サービスを利用していない高齢者だった。

 コロナ禍で孤立の深刻化も懸念される。感染リスクを避けるため外出が控えられた結果、在宅介護者と地域のつながりはさらに希薄になり、周囲も危機的な実情に気づけない状況を招きかねない。

 橋中氏は「施設を利用することは『負け』で介護放棄と誤解されがちだ。介護サービスを利用し、周囲に『助けて』と伝えてほしい。職場や身内、周囲が介護者の状況を気にかけるなど、制度を超えた支援態勢が必要だ」と訴えた。