バイデン大統領「中間層が米国つくった」 巨額投資策、働き手の恩恵協調

28日、バイデン米大統領が施政方針演説した上下両院合同会議=ワシントン(ワシントン・ポスト紙提供、AP=共同)
28日、バイデン米大統領が施政方針演説した上下両院合同会議=ワシントン(ワシントン・ポスト紙提供、AP=共同)

 【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は28日の施政方針演説で、「国の背骨」と位置づける「中間層」を重視した政策運営を強調した。大企業や富裕層ではなく、中間所得層や低所得層に恩恵が及ぶ経済政策や外交方針を進め、支持基盤としたい労働者にアピール。働き手の賃金上昇に結び付ける狙いの巨額のインフラ整備計画や教育支援策を表明し、実現を訴えた。

 「(米金融街の)ウォール街が米国をつくったのではない。中間層がつくったのだ」

 バイデン氏が演説を通じて訴えたのは、中間層を支える姿勢だった。法案成立を求めた2兆3千億ドル規模のインフラ整備計画と、幼児教育の無償化を柱とする1兆8千億ドル規模の教育支援策は、いずれも「中間層を育てるため」(政権幹部)の目玉政策となる。

 バイデン氏は演説で「あなたは急変する経済で置き去りにされていると感じている」と労働者層に語りかけ、経済格差の是正に力を入れる姿勢も強調した。

 大企業が収益を増やせば労働者に恩恵が波及するという「トリクルダウン」の経済理論について、バイデン氏は「機能しなかった」と指摘。中間層や低所得層が収入を増やし、経済を底上げする「ボトムアップ」に転換すべき時だとした。

 バイデン氏は「中間層の恩恵になる対外政策を進める」とも指摘。「中国を含むすべての国が同じルールのもとで競争すべきだ」と話し、中国が産業補助金や知的財産権侵害を是正しないことを批判した。

 一方、自国の労働者を最優先にする姿勢は、「米国第一」路線を掲げたトランプ前政権で強まった内向き志向のあらわれでもある。バイデン氏は、国内への投資増強策について「『バイ・アメリカン』が指針となる」と述べ、米国製の調達を優遇する考えを示した。

 インフラ整備などに要する巨額の財源について、バイデン氏は富裕層への課税を強化する方針だ。共和党は反対姿勢を強めており、ブレイディ下院議員は演説後、「(増税すれば)雇用を海外に押しやる」と批判した。

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