「絶望的だ」 酒類自粛要請「終日」に 埼玉

新たに蔓延防止等重点措置の対象地域となった埼玉県川越市の飲食店街=28日午後(深津響撮影)
新たに蔓延防止等重点措置の対象地域となった埼玉県川越市の飲食店街=28日午後(深津響撮影)

 埼玉県は28日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図る蔓延(まんえん)防止等重点措置を大幅に強化した。飲食店に対する酒類提供自粛要請の時間帯を「午後7時まで」から「終日」に改めるとともに、対象地域を2市から15市町へと拡大した。終日の酒類提供自粛要請に対する関係者の不満や戸惑いは根強く、「絶望的だ」との声も漏れる。

 28日から新たに重点措置の対象地域となった川越市。居酒屋「食楽厨房(ちゅうぼう)以心伝心」店長の山根佳一さん(55)の表情は暗い。

 「酒類提供の自粛で夜は誰も来なくなると思う。これなら営業しないのが普通だ。客入りをみて大型連休に店を開くかを決める…」

 被害は夜間だけではない。川越市の繁華街「クレアモール」にある別の居酒屋では、28日昼に訪れた約10組の客が、酒類がメニューにないと知ると店を後にした。店長(27)は「大型連休中の予約は全部キャンセルになった。重点措置によって客は半分以下になる」とこぼす。

 川越市と同じく28日から対象地域に加わった越谷市の寿司(すし)店は、夜間は店を開かずにランチ営業のみにすると決めた。売り上げの約6割は夜間で占められているが、それでも「人件費を考えると休止が最善と判断した」と40代の店主。4月の売り上げは例年の約4割にとどまっているといい、「大型連休中は3割以下になるのではないか。絶望的だ」と声を落とした。

 影響は飲食業界の周辺にも及んでいる。「コロナ禍で、売り上げの4割を占めていた飲食店への卸売りは1割に減った」と明かすのは、草加市の酒屋「リカーショップシライシ」社長の白石弘さん(59)だ。

 草加市も28日から新たに重点措置の対象地域となり、窮状に拍車がかかるのは避けられない。白石さんは「店で飲めなければ、コンビニエンスストアで酒を買って路上で飲む人も出てくるだろう。本当に要請の意味はあるのか」と疑問を口にした。(深津響、竹之内秀介)

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