朝晴れエッセー

母にありがとう・4月27日

93歳の認知症の実母と暮らしている。

子供時代、感情で怒っているなと嫌悪感を抱いたこともあったが、子供の思いを尊重し、父とともに愛情をもって育ててくれた。

私は娘を出産後、1年で仕事に復帰したが、娘の世話や家事を手伝ってくれ、「仕事は辞めない方がいい。自分も働き続けたかった」と言っていた。

こちらが何かする度にありがとうを言う母、今もユーモアのセンスは相変わらずで、笑わせてくれる。

認知症になる前、しっかりしていた母がオレオレ詐欺に遭った。相手が悪いのではなく、自分が悪い、亡き夫の残したお金を渡してしまったと自分を責め、死にたいとも思ったと言っていた。

認知症になって4年、私を亡くなった自分の姉と認識するようになり、「娘よ」と言うと「そうなの? 誕生プレゼントもあげず、何もしていなくてごめん」と謝るが、間もなくして私はまた姉になる。寂しさはあるが仕方ない。

妄想が出ることがあり、「それは現実ではない、夢よ、頭の病気がそう感じさせるの」と言うと「そうなんだ。どうしたらいいの?」と聞くので、「デイサービスに通い、体操や歌や作業やお喋りして、よく食べ、よく眠ること」と言うと、「じっとしているのがよくないのね! わかった、頑張りまーす!」と笑ってポーズを作る母。

母に感謝できるようになった今の私にしてくれたことに感謝しながら、週5で通うデイサービスの車に今日も元気に乗り込む母を見送った。

藤本みち子 (63) 神奈川県鎌倉市