B型肝炎再発倍償請求権訴訟 判決要旨

B型肝炎を再発した男性患者2人の損害賠償請求権を認めた26日の最高裁判決は次の通り。

【除斥期間の起算点】

民法の除斥期間は加害行為の時が起算点となるが、身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害されることや、一定の潜伏期間経過後に症状が現れる疾病のように、加害行為が終了してから相当期間が経過後に損害が発生する場合は、損害の全部または一部が発生したときが起算点となる。男性患者2人の場合は、起算点は加害行為である集団予防接種時ではなく、損害の発生時というべきだ。

B型肝炎発症後に症状がいったん沈静化したにもかかわらず、長期間経過後に肝炎ウイルスが再増殖して再発する症例も10~20%は存在する。このような症例はB型肝炎の中でもより進行した特異なもので、どのような場合に発症するのかは現在の医学では解明されておらず、最初の発症時に、後に再発することによる損害賠償を求めるのも不可能だ。

【結論】

最初の発症と再発は質的に異なるので、男性患者2人のB型肝炎再発による損害については、最初の発症時ではなく、再発の時が除斥期間の起算点となる。提訴時に損害賠償請求権が消滅していたとする福岡高裁の判断は、除斥期間の規定の解釈適用を誤った違法がある。損害額についてさらに審理を尽くさせるため、本件を差し戻す。裁判官全員一致の意見。

【三浦守裁判官の補足意見】

B型肝炎ウイルスの感染被害の迅速かつ全体的な解決を図るため、特別措置法によって給付金などを支給する措置が講じられている。特措法では、発症から20年を経過した後に提訴した場合とそうでない場合とで区分されているが、これは除斥期間を前提とするものと理解される。

本件のように再発から20年を経過する前に提訴した者は、特措法が定める給付金の満額支給の対象となる。

極めて長期にわたる感染被害の実情にかんがみると、男性患者2人と同様の状況にある感染者の問題も含め、迅速かつ全体的な解決を図るため、関係者と必要な協議を行うなどし、感染被害者の救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待する。