【主張】緊急事態宣言開始 国民の胸に届いていない - 産経ニュース

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主張

緊急事態宣言開始 国民の胸に届いていない

 新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う3度目の緊急事態宣言が25日に始まった。

 日曜の初日は繁華街の人出の減少は小幅なものにとどまり、週明けには普段と変わらぬ通勤電車の混雑がみられた。宣言はどうやら、国民の胸に届いていない。

 その要因は、宣言の分かりにくさや政策不信にある。政府や自治体は、この解消に努めなくてはならない。

 例を挙げれば、きりがない。

 無観客要請のあった演芸場では休業やむなしと、寄席や笑いは「社会生活の維持に必要なもの」に該当するとして営業を続けるところに対応が分かれた。

 宣言対象の大阪府にある「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」は臨時休業を発表したが、「蔓延(まんえん)防止等重点措置」対象の千葉県浦安市にある「東京ディズニーランド」は午後8時までの時短営業を続ける。

 小池百合子東京都知事は「東京に来ないでいただきたい」と訴えたが、逆に開いている周辺県の商店や飲食店に都内から人が向かった。小池知事は「都県境は越えないでほしいと伝えている。しっかり守ってほしい」と述べたが、苦言で人流を止められるか。

 酒類販売を禁じられた飲食店の中には「持ち込み可」の張り紙を出すところもあり、趣旨は完全に無視されている。

 プロ野球やJリーグは宣言対象地域の無観客を受け入れたが、感染抑止の試行錯誤を繰り返し、結果を出してきた自負もあり「路上飲みと一緒に扱われたのではたまらない」との愚痴も聞こえる。

 協力金の不公平感も含め、正直者が損をすると受け取られては聞く耳も持たれまい。

 一番の不安は、先の見通しが立たないことだ。5月11日までと区切った宣言期間内に劇的な効果は見込めるのか。延長の是非、判断の分かれ目はどこか。そうした最も聞きたい疑問への答えがない。明確に答えるべきは首相であり、都府県の首長である。

 政府は新型コロナのワクチン接種に関し、大規模な接種会場を運営する検討に入った。東京と大阪で、1日1万人規模の対応を可能にするという。何を今さらとはいうまい。こうした目に見える施策を打ち出し続けることが国民の信頼を呼び戻す。考え得るあらゆる手を打ち続けてほしい。