経済安保調査組織を新設へ 政府、令和5年度めど 先端技術流出防ぐ

統合イノベーション戦略推進会議であいさつする加藤官房長官(左から2人目)。左隣は井上科技相=27日午前、首相官邸
統合イノベーション戦略推進会議であいさつする加藤官房長官(左から2人目)。左隣は井上科技相=27日午前、首相官邸

 政府は27日、首相官邸で「統合イノベーション戦略推進会議」(議長・加藤勝信官房長官)を開き、経済安全保障の観点から重点化すべき技術開発を進め、自国の先端技術流出を防ぐための調査・分析を行うシンクタンク組織を新設する方針を決めた。9月までに民間機関に委託して調査を始め、令和5年度をめどに新たな組織を設ける。

 加藤氏は会議で、量子コンピューターやAI(人工知能)などの先端技術を挙げ、犯罪手段としての利用を防ぐための政策提言機能が必要と強調した。会議後の記者会見では「戦略的に育てるべき重要技術などに関する政策提言を行っていただくことが重要だ」と述べた。

 シンクタンク組織は3月に閣議決定した「科学技術・イノベーション基本計画」に基づき検討を進めてきた。9月までに有識者会議「安全・安心ボード」を設置する一方、先端技術に関するニーズ把握や情報集約、人材確保に関する調査を民間機関に委託する。内閣府が委託費3億円を3年度予算に計上しており、調査・研究を踏まえて5年度をめどに新組織を設立する。

 新組織設置は、政府直轄で民生と軍事の「デュアルユース」(軍民両用)の先端技術開発を強化する狙いがある。中国などへの先端技術流出が問題化しているほか、開発された技術が安全保障分野での実用化につながりにくい問題が指摘されていた。

 米政府は複数のシンクタンクや諮問機関と連携しており、昨年にはAIやバイオ技術などの軍民両用技術の流出を防ぐ国家戦略を発表している。日本政府の計画では、こうした米国機関との連携も見据えており、経済安保分野での協調を進める考えだ。

 また、政府は統合イノベーション戦略推進会議で、外国からの不当な影響による研究や開発が行われないようにするための対応方針を決定した。中国の人材獲得政策「千人計画」などを念頭に、研究者による適切な情報開示や、大学や研究機関による研究者の管理態勢強化を求めた。

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