東京を含む4都府県に再度の緊急事態宣言発令が決定した4月22日。もう一つ日本にとって大きな決定がありました。米国が開催した国際会議において、2030年に13年比46%の温室効果ガスの削減を目指すと公表したのです。
実はちょうど今、3年に一度の「エネルギー基本計画」の見直しにとりかかったところでした。本来であればというか、これまでの考え方ですと、まずはわが国のエネルギー基本計画のなかで安定供給・安全保障、経済性、CO2削減目標のバランスを定めたうえで、CO2削減目標を具体的に見積もるという手順だったわけですが、先にCO2削減目標が定められたわけです。
エネルギー政策とは 安定供給・安全保障とコスト、環境性の3つの要請の重心を定めることとされ、それが本来の議論の順番であると考えられてきましたが、いまや「環境ファースト」ということかもしれません。
でも、なぜそこまで2030年に向けた温暖化目標の策定をそれほど急いだのでしょうか?
それは、米国が4月22日に開催した気候変動サミットで日本として積極的な姿勢を示すためです。バイデン政権は、前政権との違いを内外にアピールし、民主党支持層からの支持を確実にするためにも、この外交イベントを非常に重要視していました。そこで各国に積極的な姿勢を示し、このイベントを盛り上げてほしいと考えていました。日本はそれに応じる形で、これまで2013年比26%削減としていた目標を46%削減に一気に引き上げました。