与党全敗、揺れる解散戦略 「ポスト菅」も見当たらず - 産経ニュース

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与党全敗、揺れる解散戦略 「ポスト菅」も見当たらず

前日の衆参3選挙で自民党が全敗したことを受け記者団の取材に応じる菅義偉首相=26日午前、首相官邸(春名中撮影)
前日の衆参3選挙で自民党が全敗したことを受け記者団の取材に応じる菅義偉首相=26日午前、首相官邸(春名中撮影)

次期衆院選の前哨戦と位置づけられた25日投開票の衆院北海道2区と参院長野選挙区の両補欠選挙、参院広島選挙区再選挙が「2敗1不戦敗」に終わったことに与党が危機感を強めている。菅義偉(すが・よしひで)首相(自民党総裁)の政権運営に影を落とし、衆院解散戦略に影響を及ぼす可能性があるためだ。一方で、党内抗争は内閣と自民の支持率低下を招きかねず、表立った首相批判は控える雰囲気に包まれている。

首相は26日の自民党役員会で「国民の審判を謙虚に受け止め、正すべき点はしっかり正したい」と敗戦を悔やんだ。与党幹部の間では長野補選が野党側の「弔い選挙」となったことや、広島再選挙は自民の「政治とカネ」の問題がクローズアップされた地域事情を敗因とする反応が目立つ。

秋までに控える次期衆院選への不安を打ち消したい思惑も透けるが、広島は平成29年の前回衆院選で自民が県内7選挙区中6選挙区で勝利した保守王国だけに衝撃は大きい。閣僚経験者は「政府の新型コロナウイルス対策への不満が直撃した。コロナは消えないから不満も消えない」と指摘。東京五輪・パラリンピックが中止に追い込まれたり、開催されても感染者が増えたりすれば、政府・与党に逆風となることは必至だ。

「新型コロナ対策優先」を掲げる首相は早期の衆院解散を見送る公算が大きく、9月30日の自民党総裁としての任期満了や10月21日の衆院議員の任期満了をにらみ解散戦略を練る構えだ。自民関係者は「3選挙を落としたが新型コロナワクチンへの期待と連動している内閣支持率は堅調だ。ワクチン接種が増えれば支持率はさらに上がる」と述べ、解散戦略は「ワクチン次第」との見解を示す。

一方で、選挙基盤が弱い若手を中心に、衆院選前に総裁選を実施して党に関心を引きつけ、国民的人気が高い新総裁の下で衆院選になだれこみたいとの声もあるが、実現するかは不透明だ。平成21年の衆院選前に麻生太郎首相(当時)の交代を求める「麻生降ろし」によって党内が混乱し、かえって支持を失った苦い記憶が鮮明に残っているからだ。

ベテラン議員は「党内抗争は国民受けが悪い。菅首相のまま衆院選に突入することになるだろう」と予測する。堅調な内閣と自民の支持率に加え、主だった「ポスト菅」候補が見当たらない現実もこうした見方を後押ししている。(沢田大典、内藤慎二)