ロシアの温暖化対策、本気度に疑問 インドも慎重

21日、モスクワで年次報告演説をするロシアのプーチン大統領(タス=共同)
21日、モスクワで年次報告演説をするロシアのプーチン大統領(タス=共同)

 米国が22、23日にオンラインで主催した「気候変動サミット」では、温室効果ガスの2大排出国である米国と中国の言動に注目が集まった。だが、地球温暖化防止を目指す「パリ協定」の目標実現には、ロシアやインドといった他の主要な温室効果ガス排出国の取り組みも重要になっている。

 温室効果ガス排出量が国別で世界4位のロシアのプーチン大統領は気候変動サミットで、「気候変動問題の解決策を探すために国際協力を活性化させることに関心がある」と表明し、温室効果ガス排出量の監視や低炭素技術の開発などで各国が協調すべきだと指摘した。

 その上でロシアは天然ガスの利用を拡大し、次世代クリーンエネルギーとされる水素の生産設備も構築すると説明。露国内の環境技術に投資する外国企業向けに特恵制度を設ける用意もあるとした。

 プーチン氏は昨年11月、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年比で30%削減するよう指示した。ただ、露メディアや専門家によると、環境技術の進歩などで既にこの目標は達成済みで、逆に排出増加を容認する内容だという。

 ロシアにとって温暖化の進行は、国土の約65%を占める凍土が解けて地盤が緩み、インフラや住居が壊れたり洪水が頻発したりするリスクになるが、「北極海航路」の開発が進んだ側面もある。政府歳入の約4割をガス・石油産業からの税収に依存しており、「脱炭素」は財政への打撃となる。ロシアはエネルギー輸出依存型の経済構造からの脱却を長年模索しているが、成功していない。

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