万博会場を実験場に 温暖化対策の切り札 水素産業に参入相次ぐ

 米国主催の気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)では、クリーンエネルギーの活用など温室効果ガス排出削減の取り組み強化を確認した。二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギー、水素の活用に向けた技術開発が国内で加速している。なかでも2025年大阪・関西万博は実験の場に位置付けられ、関西企業を中心にエネルギー供給や移動手段などの分野で実用化に向けた取り組みが進んでいる。(岡本祐大、山本考志)

 万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)と関西国際空港や新大阪駅などを自動運転の燃料電池バスが結ぶ。エネルギーとして供給されるのは、太陽光発電などで水を電気分解して取り出した水素-。

 「未来社会の実験場」をコンセプトとする万博会場で、こうしたアイデアを実現させようとする技術開発が進む。提案したのは、大阪府市や関西企業を中心につくる「H2Osakaビジョン推進会議」だ。

 これに関連し、企業の動きも活発化。産業用水素で国内トップの岩谷産業は、燃料電池で動く旅客船を万博期間中に運航する計画を発表。万博後にはクルーズ船の長距離航行も視野に入れる。

 政府は昨年末に取りまとめたグリーン成長戦略で、水素を令和12年に最大300万トン、32年に2千万トン程度の導入を目指し、水素の発電コストをガス火力以下に抑えるとした。

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