脱線事故から16年 犠牲者の母が息子をしのぶ曲

 十三回忌を迎えた昨年10月、「私が死んでしまってもみんなに見てもらえるように」と、自宅の庭で育ててきた「天の川」という品種の桜の木を、公園に移植した。咲く花の美しさ、それを愛でた遼太さんの悲しい経験を「知るきっかけになってほしい」と話す。

 そして今年に入り、事故のことを後世に伝えていくため、犠牲者の無念さと残された人の悲しみを散る桜に重ねた曲を制作した。早苗さんが作詞をした「桜の涙」だ。

 作曲は、遼太さんが生前通っていたピアノ教室の講師、熊谷啓子さん(59)=神戸市灘区=が担当した。「全国の子供たちに歌ってほしい」と、合唱用に明るいメロディーをつけた「さくらの涙」も合わせて作った。熊谷さんは「作曲中も桜になった遼太君が見守ってくれているような気がした」という。

 遼太さんは亡くなる前、JR西日本が事故の説明責任を果たしていないといつも訴えていた。事故から16年。JR西の社員も事故後に入社した人が過半数になった。早苗さんは、そんな人たちに、この歌を聴いてほしいと思っている。

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