【ワシントン=塩原永久】米国主催の気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)は23日、2日間の日程を終え閉幕した。バイデン米大統領はあいさつし、約40カ国・地域の参加首脳に謝意を表明。温暖化対策の強化を表明した日本やカナダ、ブラジルなど多数の国名を挙げて称賛し、「私たちは掲げた公約を必ず実現しなければならない」と強調した。ロシアの協調姿勢を歓迎したが、中国には言及しなかった。
23日の会合でグランホルム米エネルギー長官は、サウジアラビア、カタール、カナダ、ノルウェーの原油・天然ガス産出国と、脱炭素化を目指す連合を組むと発表した。デンマークとは船舶産業で温室効果ガス排出ゼロを達成するため連携することも明らかにした。
バイデン氏は会合途中のあいさつで、ロシアのプーチン大統領が世界へ協力を呼びかけた22日の演説に、「勇気づけられた」と異例の発言を行い、同国との協調に期待を表明した。
閉会あいさつでは、温室効果ガス削減目標の引き上げを表明した日本やカナダのほか、すでに表明済みの欧州連合(EU)や英国を挙げ、「世界全体の経済規模の半分が気温上昇を1・5度に抑えるための行動を約束したことになる」と指摘。ブラジルや韓国、インドなどにも触れた。ただ、ロシアと同様、削減目標を据え置いた中国には、特段の言及をしなかった。
この日はシンガポールのリー・シェンロン首相らが演説。都市の気温上昇を抑える取り組みなどを紹介した。米マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じて、世界が良質な雇用を生み出せると話した。