ジャズピアニスト、桑原あい コンプレックス乗り越え初のソロ作品  

ジャズピアニスト、桑原あい コンプレックス乗り越え初のソロ作品  
ジャズピアニスト、桑原あい コンプレックス乗り越え初のソロ作品  
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 デビューから今年で足かけ10年のジャズピアニスト、桑原あい(29)が、「30歳までには」と目標に掲げていた念願のソロピアノ・アルバムを完成させた。「Opera(オペラ)」と名づけたこの通算10作目のアルバムに込めた思いを桑原に聞いた。(文化部 石井健)

多彩な11曲

 ピアニストが終始一人ピアノを奏でるのがソロピアノ作品。ジャズは共演者との丁々発止のやりとりで音楽を即興的に発展させるのが妙味だから、クラシック音楽とは異なりソロ作品は特別な存在といえる。

 ここへきて上原ひろみ、小曽根真もソロ作品を発表しており、日本を代表するジャズピアニストのソロ作品がそろい踏みとなった。聴き比べるのも一興だ。

 さて、桑原にとって初となるピアノソロ・アルバム「Opera」だが、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の主題曲やドラマの主題歌「星影のエール」など多彩な11曲を一人で奏でている。

 録音は、東京オペラシティ(東京都新宿区)のリサイタルホールで行った。「Opera」と名づけたゆえんの一つだが、クラシック音楽のホールならではの深く、静かで、美しい響きを得た。

 リサイタルホールは座席数256の施設だから大ホールではないが、スタッフは機材操作のため別室におり、録音作業の間、桑原はポツンと一人ピアノに向かい合う環境に置かれた。

 「おかげで、さまざまなことに思いをめぐらせながら録音できました」

 行き詰まって床に寝転がり、気持ちを整理したこともあったが、自分とじっくり向かい合えた。

 「ミスを恐れる邪念を捨てられた。心が自由に動き、今の自分にしか出せない音を出すことに集中できました」と満足そうに振り返る。

 伊作曲家、エンニオ・モリコーネの有名な「ニュー・シネマ・パラダイス」は「原曲の強さに負けた」とてこずったが、映画の感動を反芻(はんすう)することで弾くことができた。

 ただ、感動ですすり泣く声が盛大に録音されてしまった。後からそこだけ消したが、「注意して聴くと、まだ残っています」と笑う。