「KY」といっても、「空気読めない」ではない。もともとは、「危険予知」のローマ字式略語である。労働の現場にひそむ危険をいち早く予測して取る対策を指す。
▼高度成長期に民間の工場で始まり、中央労働災害防止協会が全国に広げていった。そのかいあってか、労働災害による死亡者数は、昭和36(1961)年の6712人をピークに減り続けている。とはいえ、避けられたはずの死亡事故は今も後を絶たない。
▼今月15日に東京都新宿区のマンション地下駐車場で起きた事故もその一つである。作業員が天井の張り替えをしている最中に消火装置が誤って作動し、二酸化炭素(CO2)が充満した。4人の作業員が、高濃度のCO2による中毒で死亡した。