鑑賞眼

東宝「モーツァルト!」 改めて感じる「歌」の魅力

【鑑賞眼】東宝「モーツァルト!」 改めて感じる「歌」の魅力
【鑑賞眼】東宝「モーツァルト!」 改めて感じる「歌」の魅力
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 平成14年に日本初演されたミュージカル「モーツァルト!」が20年目の今年、7回目の上演となった。ミュージカル「エリザベート」で、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイコンビの魅力を日本に紹介した宝塚歌劇団の小池修一郎による演出で、ウィーンミュージカルの人気を不動のものとした作品だ。

 タイトルロールには、初演から数えて3人目のヴォルフガング役となった山崎育三郎と、4人目の古川雄大のダブルキャスト。コンスタンツェ役に木下晴香など、主要キャストの顔ぶれは2年前の前回とほぼ同じ。安定感のある布陣で、より「歌」が際立つ仕上がりとなった。

 映画「アマデウス」のヒットでサリエリとの関係性が衝撃を持って受け止められたモーツァルトの生涯だが、本作にサリエリは登場しない。代わりに「奇跡の子」と言われた幼き日のモーツァルトを思わせる小さなアマデウス、通称「アマデ」(子役3人のトリプルキャスト)を配し、その内面を浮かび上がらせる構成だ。

 朝ドラで全国に顔を知られた今、4回目のヴォルフガングに挑む山崎に対し、古川はこれが2回目。前回公演より肩の力が抜け、歌唱力も増した。「僕こそ音楽(ミュージック)」を歌いこなし、まじめで芯の強い古川ならではのヴォルフガング像を作り上げた。演出の小池は、古川を「エキセントリックな個性」と評したが、良い意味で「溶け込まない」個性を持つ古川にこの役は説得力がある。

 木下は美しいたたずまいで目を引くが、少し遠慮がちに感じる。実力は申し分ないだけに、もっと伸び伸びと周囲を振りまわすコンスタンツェを見たい。

 モーツァルトの父、レオポルトの市村正親と、コロレド大司教の山口祐一郎は初演から不動のキャスト。この20年での私生活の変化も影響したのか、市村は息子への愛情が際立つ、より深みのある父親像で涙を誘った。