菅義偉(すが・よしひで)首相は22日、政府の地球温暖化対策推進本部の会合で、2030(令和12)年度の温室効果ガス排出量の新たな国別削減目標を13年度比46%減とすると表明した。現在の26%減から大幅な引き上げとなる。首相は、同日夜に開かれるバイデン米政権が主催する気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)でも、日本の取り組みについて説明する。
新たな目標について、首相は会合で「これまでの目標を7割以上引き上げるもので、決して容易ではない」と説明。その上で「世界のものづくりを支える国として、トップレベルの野心的な目標を掲げ、世界の議論をリードしていきたい」と強調した。
首相は昨年10月、政権の看板政策として50年の温室効果ガス排出量をこれまでの「80%減」(基準年なし)から「実質ゼロ」を目指すと宣言した。目標を達成するためには天候に左右されやすい再生可能エネルギーの拡大や、原子力発電所の再稼働など電源構成の見直しが不可欠となる。国内の電力は安価な火力発電に依存しており、産業界では発電コストの上昇で主要企業の海外流出を招くとの懸念が強い。
政府は当初、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)までに新たな削減目標を策定する意向だったが、環境政策を重要視する米国の意向を受けて作業を前倒しした。これを受け、政府内では30年度の中間目標について、梶山弘志経済産業相、小泉進次郎環境相らが「45%減」を軸に調整していた。
首相は今月20日の衆院本会議で、先のバイデン大統領との会談で気候変動問題でも協力を強化する方針で一致したのを踏まえ「22日に予定される気候変動サミットを一つの節目として判断したい」と述べていた。