新型コロナウイルスのワクチン接種率をめぐり各国で格差が生じ、感染状況にも影響を与えているとみられる。世界最速ペースで接種が進むイスラエル、中国製ワクチンを使用している南米チリ、そして日本の取り組みを比較する。
■イスラエル 首相自ら製薬会社と交渉
世界最速ペースで新型コロナウイルスのワクチン接種を進めるイスラエルのネタニヤフ首相は19日、米製薬大手ファイザー製ワクチン900万回分を追加購入する契約を結んだと発表した。イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)によると来年の接種分。早めのワクチン確保で経済再生に本腰を入れる方針で、ネタニヤフ氏は「もうロックダウン(都市封鎖)は行わない」と強調した。
ネタニヤフ氏は声明で、ファイザーのほか米バイオ企業モデルナの経営トップと会談したとし、同社ともワクチン購入契約を結ぶと見通しを述べた。
ファイザー製ワクチンは2回接種が必要。人口900万人超のイスラエルは昨年12月に接種を始め、約半数の国民が2回受けた。世界保健機関(WHO)によると、今年1月に1日当たりの感染者数が最大1万人超に上ったが最近は100人未満の日もある。入院者数も激減したもようだ。
このため、今月18日には屋外でのマスク着用義務を解除し、学校も全面的に再開した。ただ、感染力が高いとされるインドの変異株が確認されたことなどから、外国人の入国制限や未接種の国民の入国時の自己隔離措置は継続する。
イスラエルは2月21日、2回の接種終了者を対象に「グリーンパスポート」の発行を開始。スマートフォンのアプリなどで証明を取得し、文化施設など感染リスクが高い場所で提示すれば入場できるようにした。
同国は国民に「健康維持機構」(HMO)への加入を義務付け、疾患に関する情報をデータ管理している。これにより順番を決め、優先度が高い人には個別に連絡するなどして急ピッチで接種を進めた。