共産党の機関誌「前衛」が、今月発売の5月号で創刊第1000号を迎えた。終戦直後から続く同誌は、長年、理論を党の内外に伝える役割を担ってきたが、近年は野党共闘路線を反映して、誌面構成にも変化があらわれている。
志位和夫委員長は今月22日の記者会見で、同誌について「理論的なさまざまな問題の究明と、ときどきの政治問題を掘り下げて特集する役割を担ってきた」と語った。
「前衛」は「日本共産党中央委員会理論政治誌」と銘打つ月刊誌。昭和21年2月、「日本における革命的闘争の指導的な灯台」となることを目指して創刊した。第1号は当時の徳田球一書記長による「組織は綱領と戦術を実現する武器である」や、宮本顕治主幹(後に議長)の「天皇制批判について」などの論考を掲載した。
ただ、近年は他の野党の幹部が誌面に登場して「エールを交換する場面も増えてきた」(志位氏)。昨年9月号は、共産の穀田恵二国対委員長と立憲民主党の安住淳、国民民主党の原口一博両国対委員長(いずれも当時)の三者会談を掲載している。
共産では、機関紙「しんぶん赤旗」が党員の減少などで部数が減っており、「前衛」も同じ傾向に悩んでいるとみられる。もっとも、党幹部は「『前衛』の発行部数は公表していない」としている。