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ブシロード会長、新日本プロレスオーナー・木谷高明(60)(9)「忖度(そんたく)ない声」が市場牽引

「ヴァイスシュヴァルツ」の発表会
「ヴァイスシュヴァルツ」の発表会

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《平成19年5月、エンターテインメント業界での2度目の起業で、カードゲームでの「世界一」を目指すことを決めた。テレビゲーム隆盛期に、あえて紙を売る勝負に出た》

起業したころのカードゲーム市場はテレビゲームなどの存在により、冷え込んでいました。メインユーザーである子供たちのお小遣いと時間を奪い合うライバルは多い。しかし、カードゲームにはカードを収集したり交換したりする「コレクション性」、対戦するときのカードの束であるデッキを創る「想像力」、そして対戦での相手との「コミュニケーション」、と幾重にも面白さが詰まっている。僕にはカードゲームはまだ成長する分野であるとの確信があり、市場拡大のためにやるべきことがあると思いました。ブシロードはただ商品を世の中に送り出すだけでなく、カードゲーム市場全体を変えていくつもりで始めたのです。

最初に手掛けた「ヴァイスシュヴァルツ」というカードゲームには、アニメ、コミック、ゲームなどのキャラクターが横断的に登場します。それまでは「ガンダム」のカードゲームならガンダムのキャラクターしか登場しませんが、「ヴァイスシュヴァルツ」は作品を超えたいろいろなキャラクターでゲームが楽しめ、「お祭り感」を味わえるようにしたのです。さらにユーザーの方々が追加のカードを買うとき、作品ごとにパックにして別売りにしました。複数の作品を交ぜたパックよりも買ってもらいやすいと考えたからです。ファンは自分の好きな作品のカードを買うのが楽しいに決まっていますから。

ゲームのルールもシンプルにして初心者でも逆転の要素があるようにしました。一部のゲーム愛好者からは運次第のゲームだとの声はありましたが、新規ユーザーがいなくなったら市場は消えてしまいます。カードゲームショップに向けた説明会やユーザー向けの体験会、初心者講習会を全国で開くなど、できることはすべてやりました。「ヴァイスシュヴァルツ」でコケたら後はない。そんな気持ちでした。