バイデン米政権が22~23日にオンラインで開く気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)は、参加国・地域のさまざまな思惑が交錯する場となりそうだ。米国は、温室効果ガスの最大排出国である中国に対策強化を促そうと、自ら厳しい削減目標を打ち出して国際的な主導権の確保を狙う。「途上国代表」を自任する中国は自国経済への影響を抑えることにも力点を置き、米国と駆け引きを展開するとみられる。
米国、目標引き上げ中国に圧力
【ワシントン=塩原永久】バイデン米政権は22日からの気候変動サミットに先立ち、温室効果ガスの国別削減目標(NDC)を引き上げる方針をすでに表明している。国際的な「脱炭素」実現の取り組みを主導する姿勢を示し、世界最大の温室効果ガス排出国である中国に対策強化を促す圧力をかける構えだ。
「主要国を結集し、野心的な気候対策の約束をしてもらう」。バイデン大統領は16日、菅義偉首相との会談後の記者会見で、気候変動サミットの開催にこう期待を込めた。バイデン氏と菅氏は、両国が30年までのNDCを引き上げることで一致。主要国による対策強化の流れを作り、中国の外堀を埋める格好となった。
米政権は1月下旬、同サミット開催とNDCの引き上げ方針を表明。これ以降、ケリー大統領特使(気候変動問題担当)が各国を訪れ、同サミットへの支持を呼びかけてきた。先週には中国を訪問し、気候変動で米中が協力するとの約束を中国側から取り付けた。
米メディアによると、米政権は「30年までに05年比50%減」とする新NDCを検討している。かつてオバマ政権が掲げた「25年までに05年比26~28%減」の目標を大幅に上回る。