【上海=三塚聖平】中国で開催中の上海国際モーターショーで、中国メーカーも電気自動車(EV)を相次ぎ発表した。会場で多くの来場者を集めたのが、日本円で50万円を切る価格で、中国で人気となっている上汽通用五菱汽車の小型EV「宏光ミニEV」だ。
昨年7月に「人民の足代わりの車」をキャッチフレーズに発売された。基本モデルの航続距離は最長120キロと機能は抑えられているが、2万8800元(約48万円)からという低価格が中国の庶民に受けて販売を急拡大させた。
昨年の年間販売台数は11万6千台で、米EVメーカー、テスラの主力車「モデル3」の13万9千台に迫っている。中国政府の後押しで成長が見込まれる中国EV市場で、さらにシェアを拡大させるか注目される。
テスラをめぐっては、上海モーターショーのブースで19日、女性が「ブレーキがきかない」と書いたTシャツを着て抗議する一幕があった。中国メディアによると、女性はテスラの車の所有者だが、ブレーキに問題があったため交通事故が起きたと主張して同社ともめていたという。
テスラについては、2月に中国政府が、異常加速などの問題について行政指導を行っている。米中対立の中でも中国販売を順調に伸ばしてきたが、中国の消費者の間で広がる品質への疑念が今後の事業にどう影響するか注視される。