電動車市場 中国ITの参入で戦国時代 日系はHVに強み 上海モーターショー 

上海国際モーターショーで披露された日産のSUV「エクストレイル」の新型車=19日(共同)
上海国際モーターショーで披露された日産のSUV「エクストレイル」の新型車=19日(共同)

 世界有数の自動車展示会である上海国際モーターショーが19日、開幕した。今回のショーで目立つのは、中国政府が普及を後押しする電気自動車(EV)など電動車の出展。伝統的な自動車メーカーのほか、IT業界からの新規参入も相次ぎ、世界最大の自動車市場の成長分野をめぐる戦国時代さながらの様相だ。日系メーカーは強みを持つハイブリッド車(HV)を含めて中国市場攻略を図るが、日本市場では中国メーカーの存在感が高まる兆しも出ている。(宇野貴文、上海 三塚聖平)

 「トヨタ自動車は、どの地域よりも電動化がスピーディーな中国で普及拡大に取り組んできた」

 トヨタの前田昌彦執行役員は、会場で行われた発表会のビデオメッセージでこう強調した。

 中国は、2035年までに従来型のガソリン車を、EVやハイブリッド車(HV)に置き換える方向性を示す。習近平国家主席が昨年、60年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする目標を表明したことが背中を押しており、トヨタなど国内外のメーカーが競って新型EVを発表している。

 足元で目立つのが中国IT大手の新規参入だ。3月末には、スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)がEV事業を担う完全子会社の設立を発表。今後10年間で総額100億ドル(約1兆1千億円)の投資を見込む。通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)も18日、自動車メーカー向けの新技術を発表し、自動車関連事業の強化方針を示す。

 一方、日系メーカーは国や地域の電源構成などに応じた環境車を提供する全方位型の戦略を掲げ、中国でもEV展開を進めつつ、得意のHVも武器にしたい考えだ。HVも含めて電動化の目標を定める中国は、ガソリン車はもちろん、HVも将来的に全廃する目標を掲げる英国や米カリフォルニア州などと比べ、HVに有利な面もあるためだ。

 ただ、日系メーカーのお膝元である日本市場では、中国の自動車メーカーによる攻勢も始まっている。

 SGホールディングス傘下の佐川急便は30年までに国内の配送で使用している軽自動車約7200台を、中国の自動車メーカー、広西汽車集団が供給する小型EVに切り替える。日本国内で自動車が排出するCO2の半分は商用車によるもので、佐川急便はグループの車両が年間に排出するCO2の約1割に当たる約2万8千トンの削減を見込む。

 迎え撃つ日本メーカーでは昨年末以降、トヨタが2人乗り超小型EV「シーポッド」、マツダがスポーツ用多目的車(SUV)「MX-30」のEV版を国内で発売。日産自動車のEV「アリア」も今年中頃に販売される。こうしたEV対応をさらに加速させなければ、中国製EVに日本市場が浸食(しんしょく)される可能性も否めない。