【世界の論点】ワクチンパスポートの是非(2/3ページ) - 産経ニュース

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世界の論点

ワクチンパスポートの是非

3月半ばになってEU欧州委員会は、ワクチン接種だけでなく、PCR検査や抗体検査の結果を総合的に盛り込んだ共通証明を今夏スタートさせる計画を表明し、各国の同意を取り付けた。フランスも今夏までに成人の希望者が全員接種を受けられるようにする目標をたてており、EUの共通証明発行についても「接種が進んだら、考えてもよい」(ポンピリ環境相)と柔軟姿勢に転じた。

EUでは新型コロナで「移動の自由」が棚上げされ、各国バラバラの都市封鎖、入国規制が続く。夏のバカンスシーズンを前に、正常化にどう踏み出すかは大きな課題だ。欧州委員会のアンヌ・ブシェル元保健局長は3月23日付ルモンド紙に仏経済学者らと連名で寄稿し、「厳しい都市封鎖を長く維持するのが難しい。日常生活に戻ることは特権ではなく、だれもが回復したがっている権利だ」と訴え、EU共通証明の導入に理解を求めた。(パリ 三井美奈)

米国 州政府発行めぐり党派対立

ワクチンパスポート導入をめぐる米国の議論は、州政府が発行すべきか否かで党派対立の様相を呈している。経済活動を安全に再開する手段として支持する民主党の知事がいる一方、共和党の複数の知事が接種しなかった市民の行動の自由を侵害し、経済活動を阻害すると反対している。

東部ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)が3月26日に運用開始を発表した州政府発行による全米初のワクチンパスポート「エクセルシオール・パス」が世間の注目を集めたところで、南部フロリダ州のデサンティス知事(共和党)が疑義を唱え、議論が白熱した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(4月9日付電子版)は「新たな発火点になっている」と伝えた。

エクセルシオール・パスは州政府の発行という点が、航空業界や非営利団体など民間主導のパスと異なる。南部ノースカロライナ州でクーパー知事(民主党)が議論を始めたが、政府による過度の市民生活への介入を嫌う共和党の知事から異論が相次いだ。