石油連盟の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は19日の記者会見で、政府が近く取りまとめる日本の2030年の温室効果ガス排出削減目標について、「積み上げベース、実現可能ベースのものになってもらいたい」と注文した。30年まで9年弱と時間が限られるとし、「野心があまりに大きくなりすぎてそれが目標となってしまうと、(安全を前提に安定供給、経済性、環境対応の達成を目指す)『S+3E』が大きく損なわれる可能性がある」と懸念した。
政府は、現行目標の「30年度に13年度比26%減」から上積みする方向だ。菅義偉首相は、今月22、23日にバイデン米大統領が主催する気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)までに「はっきりさせたい」との考えを示している。
会見で杉森氏は「ちゃんと合理性のある削減目標があれば、それは受け入れていくべきだと思うし、あるいは国際公約ということにもなっていく」としつつ、「積み上げのないもの、野心で、大きな数字を作るということになると、一番重要な『S+3E』という日本のエネルギー政策がひずみをきたす可能性が高い」と慎重な対応を求めた。